サリチル酸については、昨今手作りご飯を扱ったサイトなどで話題に上
っていますが、アスピリン・アレルギーと混同されていたり、なかなか正確
な情報や対処の仕方を知ることが出来ません。そこで、私たちなりに少
し調べてみましたのでご報告させて頂きます。
サリチル酸は消炎・鎮痛効果があり、解熱剤などに利用されて来たので
すが、反面非常に刺激が強く、胃腸障害を起こし易いので、アセチル化
させてアスピリンの形で服用するようにしたため、刺激が大幅に少なくな
り、人薬としての完成度が高くなりました。解熱剤などを食後に大目の水
とともに服用するのは、このアセチルサリチル酸を徐々に加水分解させ
るためなんですね。
ちなみに、このアセチルサリチル酸の俗称がアスピリンで、サリチル酸に
酸(酢酸)を化合させた物です。
C6H4(COOH)OH+(CH3CO)2O→C6H4(COOH)OCOCH3
+CH3COOH
経口薬物の場合は、このアスピリンか、サリチル酸に塩を化合させた、
サリチル酸ナトリウムの形で供給される事が多いですね。
一方、植物に、特に果実に多く含まれるサリチル酸は、エステル化した、
サリチル酸メチルの形で含まれており、一口にサリチル酸と言っても化
合物としての形が違います。エステルというのは、酸とアルコールの化
合物の事で、サリチル酸メチルはサリチル酸とメチルアルコールの化合
物です。
C6H4(OH)COOH+CH3OH→C6H4(OH)COOCH3+H2O
サリチル酸の毒性は非常に強く、摂取した場合の中毒は、急性の場合
急激な嘔吐や麻痺、痙攣が現れ、少量ずつ摂取した慢性の場合でも、
数日から数週間で嘔吐、めまいなどの症状が出ます(人の場合)。
サリチル酸の化合物の中では、植物や果実に含まれるサリチル酸メチ
ルの毒性が最も強いのですが、上記のように中毒の反応出現は比較
的速いので、普段食べていて異常の無い場合は、何らかの消化器系の
反応により処理されているか、症状が出ないほどの微量であるという事
が考えられます。毒性という話なら、緑黄色野菜のアルカロイドなどは、
毒性の点ではサリチル酸どころの話ではないですし。
因みに、サリチル酸メチルの精油は、小匙いっぱい程度が幼児の致死
量です。ビックリなさるかもしれませんが、薔薇のエッセンシャルオイル
を考えてみて下さい。スプーンいっぱい取るのにどのくらいの量が必要
か?普通に野菜を食べているくらいなら、あまり心配無いのでは???
サリチル酸の体内作用としては、インシュリンの分泌を増加させて、ブド
ウ糖の代謝に影響を及ぼす事が有るそうです。これは、インシュリンの
分泌が増加したために、低血糖が起こる為です。
また、ラットによる実験では、サリチル酸は肝臓で、乳酸・ピルビン酸・
プロピオン酸・果糖などからの糖新生を、減少させたが、肝臓のATP濃
度は変化させなかった、という報告も有りました。
サリチル酸の体内作用に関しては、これ以外の例が今の段階で発見
できなかったので、消極的意見かもしれませんが、アスピリンまたはサ
リチル酸ナトリウムの形では摂取させないということくらいでしょうか。
猫は、肝臓でサリチル酸を排出できない、または分解にかなり長い時
間かがかかり、結果的に中毒するという説がありますが、実際、野菜
の形で摂取させて、肝臓にサリチル酸として到達或いは生成するとい
う報告は見つかりませんでしたから、サリチル酸系化合物を直接与え
なければ、食材の摂取による影響は極めて低いと考えてよいのでは、
と思います。
もちろん、サリチル酸をアレルゲンとして持つ体質がある場合はこの限
りではありませんが。ショックを起こす事も考えられますから、含有する
食材の摂取は回避した方が良いと思います。
私たちの、今のところの意見としましては、摂取して短期間に特定の異
常が出ていなければ、食材についてのサリチル酸の心配は少ないので
は???というところです。そして用心として、サリチル酸メチルの毒性
から、「サリチル酸が多く含まれている」とされる食材の常用は避けると
いう事でしょうか。たまに食べる程度なら影響は無いと思えるのですが
・・・。また、精油の話を参考にすると、ハーブなどでサリチル酸を多く含
むものを、精製・コンクしたチンキなどや、果実の成分を濃縮した物の
摂取には充分注意し、場合によっては回避する必要があるかもしれま
せん。
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